H-1ビザは移民法が規定したProfessionalに発行されるビザです。H-1Bビザを取得するためには、普通4年制大学を卒業していること(または短大卒業プラス最低6年間プロフェッショナルとしての職業経験)が条件となります。H-1Bビザの特徴は:
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日本人留学生が卒業後、アメリカで就職を希望する場合、最も一般的なビザ |
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滞在期間は通常3年間。その後もう3年の滞在期間の延長ができる。さらに永住権を申請中の人はさらに1年づつ滞在の延長が可能。 |
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他のビザへの切り替えが可能 |
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永住権申請中でもアメリカへの入出国が可能 |
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年間の発行数に制限がある。2005年度は65,000ビザしか発行されない。(2003年度は195,000ビザ発行できたのが、1/3以下に縮小されたこのため、H-1Bビザの取得はたいへん難しくなった)。 |
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家族の方はH-4で入国できる |
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アメリカの労働局と移民局、両方へ書類をファイルする必要がある。 |
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職務内容がプロフェッショナル(Specialty
Occupation)なものであること。どの職業がプロフェッショナルかどうかは移民法典や判例により決められています。 |
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ビザ申請者がプロフェッショナルとしての資格を持っていること。この資格は通常学位によって判断されます。(ただし、特別なケースでは職業経験を学位に換算することが可能)。どの学位がプロフェッショナルな学位かどうかは移民法典や判例により決められています。 |
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ビザ申請者の学位と職務内容が一致すること。 |
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その年のビザ発行数が規定数に達していないこと。H-1Bビザは年間の発行数が制限されています。このため、ビザの発行が規定数に達した場合、翌年までH-1Bビザは発行されません。 |
H-1Bビザの申請はまず雇用者(アメリカの関連会社)が労働局(DOL)に対し、LCA(Labor
Condition Application)を承認してもらうための申請をします。
LCAの承認が得られたら、アメリカの雇用者がForm
I-129 に必要な書類を添付し移民局にファイルします。Form I-129が承認されると移民局から"Notice
of Approval"が発行されます。
その後、Notice of ApprovalをもとにH−1Bビザを申請します。H-1Bビザの取得方法は(1)アメリカ国内で行う場合(COS)と、(2)在日アメリカ大使館で行う場合があります。この2つの方法は手続き方法も違いますし、取得にかかる時間も違いますので注意してください。
H-1Bビザの申請は複雑です。またH-1Bビザの申請書に記載した事項が、後に永住権を申請する時問題になることがありますので注意してください。
H-1Bビザは最初入国した時に3年間の滞在許可がおります。その後もう3年間滞在期間を延長することが可能です。したがって、H-1Bビザは計6年の滞在が認められています。
さらにH-1Bビザ滞在期間中に永住権の申請を行い、365日以上経過したがまだ永住権の申請に対する結果が出ていない場合、さらに1年づつ滞在期間の延長申請ができます。(永住権申請にともなう滞在期間延長の特例)。
ビザをサポートしてくれた会社以外では就労できません。また次の場合、ビザをサポートしている会社に勤めているのにもかかわらず、不法労働となりペナルティーの対象になる場合がありますので注意してください。これは、(1)勤務地が変わった場合、または(2)職種が変わった場合に起きる可能性があります。
従業員GはH-1Bビザで会社Dのデンバーオフィスに勤務している。今度、従業員Gは同じ会社のサンフランシスコオフィスに転勤することになった。H-1Bビザは転勤後も有効か?----------
原則として従業員GのH-1Bビザは有効ではない。これはデンバーとサンフランシスコでは給与水準が違うため。会社Dは従業員Gのために、サンフランシスコの給与水準によるH-1Bビザ申請を再度行う必要がある。ただし、従業員Gのサンフランシスコ勤務が一時的な場合はこの限りではない。 |
従業員GはH-1Bビザで会社Dのデンバーオフィスに、エンジニアとして勤務している。今度、セールス部門へ移動になった。H-1Bビザは移動後も有効か?----------
H-1Bビザは移動とともに失効する。H-1Bビザはあらかじめ申請されたプロフェッショナルな職務(この場合はエンジニア)に対して発行された。このH-1Bビザはエンジニア以外の職種には無効。会社DはH-1Bの再申請をしなくてはならない。ただし、「セールス」でH-1Bを取得するのはかなり難しい。 |
これらの違反は移民局またはDOLの抜き打ち調査で発覚する場合が多い。また最近はH-1B労働者を採用した代わりに解雇されたアメリカ人社員が、腹いせに移民局またはDOLに通報するケースも多いので注意が必要です。原則として、転勤または移動の話がでたら、実際に転勤する前に不法労働にならないかをよく確認してから行うことが大切です。
H-1Bビザの家族はH-4ビザでアメリカに滞在することができます。H-4ビザはH-1Bビザに付随するビザです。原則としてH-1Bビザが有効な限りH-4ビザも有効。ただし、H-4ビザで渡米した配偶者または子供はアメリカ国内で働くことができません。
@ 就職先の会社に制限がありません。例えば、マイクロソフトやインテル、大手CPAファーム等の会社に勤務することもできます。反対にE、Lビザで働くことのできる会社は、原則として日本の会社の子会社、または日本人が株式の半数以上を保有している会社に限られています。
A 新卒の学生でも取得できます。反対にLビザは、日本の親会社で最低1年(特別な場合は半年)働いた経験がないと申請できません。
B 法律上はアメリカ側の会社の規模に制限がありません。(反対にE-ビザの申請では、ビザサポート会社の投資額が一定金額以上でないと発行されません。) ただし、最近小規模の会社がH-1Bビザをサポートした場合、ビザの申請が拒否されるケースが増えています。
@ 原則として学士号以上の学位が必要です。ただし、短大卒業プラス最低6年間の専門職に従事していた経験があれば取得可能な場合があります。
A ビザを取得できる職種が限られている。会計、コンピュ−ター、理系、ファイナンス関連職は有利。反対にプロフェッショナルと認められない職種、例えばタクシーの運転手、肉体労働者、ファーストフード店の店員、一般事務職、受付等の職種にはH-1Bビザは発給されない。
C 一年間に発行されるビザの数に制限がある。2005年度は65,000しか発行されない。このためH-1Bビザの申請が遅れると、次年度までH-1Bビザが発行されない。
B 就労にさまざまな制限がある。ビザスポンサーの会社に勤めていても、転勤や異動が制限される。
C ビザをスポンサーする会社が移民法上さまざまな義務を負う。
H-1Bビザの滞在期間の延長申請はすこし複雑ですので注意が必要です。まず、H-1Bビザ保持者の滞在延長申請は、アメリカの会社が行います(本人が申請するのではありません)。この時必要なフォームはForm
I-129です。
ただし、家族(H-4ビザ)の方の滞在延長申請は本人が行います。この時必要なフォームはForm
I-539です。提出するフォームも申請方法も異なりますので注意してください。
よく、「ビザをサポートしてくれる会社が見つからないから」という理由で「自分で会社を設立し、その会社が自分のビザのスポンサーになってH-1Bビザを申請したいのだが可能か?」という相談を持ちかけられます。
このプラン、法律上は可能だが、実務上は難しいのが現状です。ただし、これはどういう会社を設立するのかによって事情が異なります。例えば、これから設立する会社が実質上のビジネス要件を備えている場合でしたら、H-1Bビザが発行される可能性は十分あります。しかし、会社設立の目的がビザ取得の場合は失敗する可能性が高いでしょう。
企業家Pはアメリカに会社を設立して、その会社にPのH-1Bビザをサポートさせることを考えている。Pの会社の資本金は$100,000。すでに5年間のオフィス・リース契約を交わしてある。アメリカ人の従業員も1人雇っている。ペイロール・タックスの申告(Form940)もすでに一度終えている。----------
この場合H-1Bビザの審査官はPの事業は実質上のビジネス要件を備えていると判断し、H-1Bビザを認可する確立が高い。仮にPが審査官からRFE(Request
For Evidence)を受取った場合でも、資本金の額、リース契約書、ペイロール・タックスの申告書等、Pのビジネスの実質をサポートする証拠がそろっている。 |
学生Kはアメリカに会社を設立して、その会社にKのH-1Bビザをサポートさせることを考えている。Kの会社の資本金は$5,000。オフィスも無ければ従業員もいない典型的なペーパーカンパニーである。----------
この場合、H-1Bビザの審査官はRFEをKに送る。しかし、Kはビジネスの実質を証明できる一切の証拠を持たない。なぜならKが設立した会社はH-1Bビザ目的のペーパーカンパニーだから。特に2004年以降はH-1Bビザの発行数が65,000に制限されている。このためH-1Bビザの審査官は審査を厳しくし、本当に条件を満たしている申請にだけH-1Bを発行しようとしている。したがって、この例ではビザの申請は却下されるであろう。
仮にH-1Bビザが発行されても、Kはその後同じ会社を使って永住権を申請することはできません。これはKの保有している株式数が多すぎるためです。 |
H−1Bビザの発行枠不足に関する問題、対策は「H-1B -
ビザ発行枠不足問題」をご覧ください。
H‐1B労働者が解雇通知を受取った場合の対応は「H-1B -
解雇通知と対策」をご覧ください。
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